TOP > 準婚姻関係公正証書
準婚姻関係公正証書とは、結婚した夫婦のような保護やメリットを享受するため、または、将来の共同生活における取決め内容を、トラブルの予防を目的として作成する「公文書」のことをいいます。
主に、同性婚や事実婚などの場合に用いられます。
LGBT(または GLBT)は、女性同性愛者(レズビアン)、男性同性愛者(ゲイ)、両性愛者(バイセクシュアル)、および性転換者(トランスジェンダー)の4つの頭文字を取った言葉であり、これらの性的志向の非典型的な人達をまとめて指す総称です。
外部からの定義である「セクシュアル・マイノリティ(性的マイノリティ)」とは違い、自らを呼ぶ言葉として、自発的に選定された用語です。
欧米諸国とは違い、日本国内では、LGBT当事者間におけるパートナー契約や同性婚に関する法律はありませんし、憲法の改正(「両性の合意」)が必要となるので、極めて実現が困難な状況です。
男女間のカップルであれば、結婚(婚姻)することによって、配偶者扶養控除や年金受給、財産分与、相続権など、実に多様な形で、法的な保護や恩恵が享受できますし、相続税などの税法上も優遇されています。
一方、同性間カップルにおいては、そのような保護やメリットは何もありません。
それどころか、賃貸住宅の家族向け物件に入居することも難しく、住宅購入においてローンを共同名義で組むことすら断られる可能性が高く、仮に一方が不慮の病気や怪我などに見舞われた場合に面会や介護、インフォームド・コンセント(医師からの医療説明も受けたり治療へ同意を行うこと)等も期待出来ませんし、相続権もありません。
同性間カップルにおいては、「結婚」の代替策として、養子縁組を利用することが、多くあります。
成人していれば、当人同士の意思のみで行うことが可能ですが、必ず年長者が養親になる(養親側の姓になる)という制限はあるものの、戸籍上、同じ苗字を名乗る家族となることが出来、一定の相続権が得られるなどのメリットがあります。
また、生命保険の受取人に指定することができたり、携帯電話の家族割引が利用できるなどのメリットもあります。
もっとも、それでも、「結婚」に比べたら、法的な保護やメリットは足りませんし、男女間の結婚のような心理的充足を得ることは出来ません。
そのような不備・不足を補強し、共同生活において生じるトラブルを事前に予防するための契約書が、「準婚姻関係契約書」=「パートナー契約書」です。
さらに、老後や死後の不安や心配を解消するためには、パートナー契約の他に、通常の夫婦と同様、「遺言」や「任意後見契約」を利用することも可能です。
遺言のメリット
「遺贈」として定めておくことで、通常の贈与税とは違い、税率の低い相続税の適用を受けることが可能です。
「祭祀承継者」として、死後の葬儀主宰や遺体遺骨の管理などに指定しておくことも可能です。
後見人として、将来、身体が不自由になったり、判断能力が衰えた場合に、本人に代わって財産管理や身の回りの世話、施設入所や病院入院などの手続きを行う権限が得られます。
準婚姻関係契約公正証書においては、結婚に準じた内容として、同居義務や努力義務、貞操義務などの他、結婚契約書のように、共同生活における一定の取り決めを定めておくことが出来るほか、財産管理や、医療現場におけるインフォームド・コンセント権限の付与、など、多岐に渡って取り決めを行うことが可能です。
ただし、公証人によっては「同性婚」は法的に認められていないとして、記載内容に関する一定の制限・制約や、記載する表現の変更を求められる場合もあります。
また、法律上の優遇措置(税金の配偶者控除や健康保険・厚生年金などにおける優遇)は、受けることが出来ません。